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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

朝鮮舞踊の緋緞道

またしてもレポートが遅くなってしまいましたが、Brilliant Harmony のレコーディングを終えた翌6日、金剛山歌劇団の創立55周年記念公演のライヴ・レコーディングと PA をしてきました。 ライヴ収録の時は通常のレコーディングよりも入り時間が早いことが多いのですが、今回も朝9時に会場入りです(>_<)

金剛山歌劇団

http://www.kot-jp.com/

ひょんなことから金剛山歌劇団 (以下 KOT と略します) のCD制作に関わるようになってもう6年くらい、今では器楽部の忘年会に呼ばれたり、離れていった OB たちのCD制作をも手伝ったりと、良い関係が続いています。 2008年からはオーケストラとのコラボ公演も行っていて、その際はライヴ収録と PA を僕が担当しています。 今回の記念公演も東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団とのコラボ公演なのですが、今までのコラボとはちょっと違います。 今までは民族楽器はソロのみで、つまり KOT のソリスト(歌を含む) とオーケストラの協演というスタイルでしたが、今回は舞踊の公演で、その音楽を東京シティ・フィルと KOT 器楽部の合同オケが演奏する、という画期的なスタイルです。 指揮は KOT の金 成哲 (キム・ソンチョル) 君、僕よりちょっと年下の若きエースです。

悔悛と歓喜

ショパンに恋して

5月

You've Got a Friend

レコーディ ング本

With You

Now Here I Am

Conforto

4月

新しいプラグイン2つ

スペース・ロック・ファンタジー

キャラメル・マキアート

PSP sQuad

3月

The EDDIE KRAMER Modeling

アメリカ人の英国詣

そんなわけで行ってきましたオーケストラ公演の殿堂、上野の東京文化会館です。 写真左下は特に意味はありませんが文化会館の入り口、そして写真右下は今回も収録のメインとして使用した三点吊りマイク、会館所有の Neumann SM-69 (左上の方にかすかに見える) とオケ・ピットの一部、そして客席の一部です。 大ホールはキャパ 2,300、なんと5階席まであるのです。 写真をクリックすると拡大表示します。

今回の楽器配置は通常のオケ配置とは違い、下手(客席から見て左) 側に弦楽器、上手(右) 側に管楽器と打楽器、そして独唱と重唱などヴォーカル・セクションは下手脇でした。
使用したマイクは三点吊りマイクの他に8本、これらの補助マイクのみを、ちょこっと PA から出し、生音に足していきます。 ちょっとわかりづらいかもしれませんが、写真左下は弦楽器をまとめて狙った Neumann U87Ai (無指向)、そして奥の方にヴォーカル・セクション用の AKG C414 が見えます (写っているのは2本ですが全部で4本使用)。 写真右下は KOT の民族木管楽器を狙った U87Ai、そして写真には写っていませんが、朝鮮の民族音楽の核となる打楽器チャンゴと、箏のような民族楽器カヤグムにもマイクを立てています (それぞれ MEARI 319-A9)。

東京シティ・フィルとの共演は3度目とあって、リハの時など、あちこちに笑顔の輪があったのが印象的でした。 演奏も素晴らしかったです。
そして今回の主役は舞踊部、前後半で13の演目があり群舞、独舞、そして三人舞と、それぞれ見応え抜群でした。 正直舞踊のことはよくわからないのですが、舞踊のみの練習を見学する機会があり、その時に踊りによってその場の空気が変わっていくのを実感し、あぁつまり音の振動を伝える演奏と同じなのだなぁ、と思ったりもしました。 芸術的な舞踊と娯楽性溢れる舞踊どちらも素晴らしく、東京舞台照明による光の芸術と相まって、この世のものとは思えない美しさでした。

おっと、自分の仕事のことも書かなくてはいけません。
今回の PA では、オケの演奏のバックで司会者が喋る、客席から歌い手が現れピン・マイクで歌う、舞台袖でセリフを喋る、など普段のレコーディングではまずあり得ないシーンのフォローをしなければならず、もちろん事前にきっかけを覚えたりイメージ・トレーニングをして臨みましたが、いやぁたいへんでした。 しかし KOT の音響チーフであるリャンギさんや、団員のサポートによって本番はノー・ミスで無事やり遂げ(当たり前ですが)、ソプラノ三重唱が入る曲でトップの裏メロを限りなく遠くから響かせて出す、というような僕ならではの技もうまくできたと思います。
終演後、片付けをしながら団員や東京舞台照明のスタッフとも笑顔で握手を交わし、心地よい疲労と共に今年のGWが終わったのでした。