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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

Now Here I Am

僕のお客さんの中で一番お付き合いの長いアーチストの一人であるシンガー 曾我泰久さん、今年でソロ・デビュー20周年を迎え様々なイベントが企画されていますが、まずはその第1弾「20周年記念コンサート」が行われました。 2日間で3公演、そのうち最終日の模様が DVD 収録されることになり、僕はそのレコーディングを担当しました。

曾我 泰久

http://soga21.com/index.html

会場は曾我さんがソロ・デビュー・ライヴをやった時と同じく川崎クラブ・チッタ、なんと3公演でソロになってから発表した曲を全部演奏したそうです。 公演ごとにタイトルが付けられ、DVD 収録を行った最終公演のタイトルは「Now Here I Am」、扉写真はそのタイトルがプリントされたバスドラムです。 そしてスタッフにも黒い「Now Here I Am」Tシャツが配られました。

クラブ・チッタは2Fにレコーディング・スタジオを完備しているので手ぶらで行ってもハイ・クオリティなレコーディングができるのですが、いつものようにマイク・プリアンプとレコーダは持ち込みました。 回線表を見るとどうやら 24ch では全然足りないようなので、チッタの Pro Tools も 12ch ほど使い、同期はせず、持ち帰ってから手合わせで尺を合わせることにしました。 頭分けでスプリッターも完備ということで、24bit 96kHz で録っています。 何度かチッタで収録をしたことがあるので、事前の打ち合わせもスムーズに進みました。

Conforto

4月

新しいプラグイン2つ

スペース・ロック・ファンタジー

キャラメル・マキアート

PSP sQuad

3月

The EDDIE KRAMER Modeling

アメリカ人の英国詣

TOKYO SESSIONS 1989

BBE Sound Sonic Sweet

2月

スティームハマー

258tc

NHK スペシャル・20年の歴史

パトリック・モラーツ

ライヴ収録の場合、基本的にマイクは PA で使っているものをそのまま使わせてもらいます。 そしてレコーディング用に客席の声や拍手を録るためのオーディエンス・マイクを設置する必要があるのですが、チッタにはこれも2種類完備しているので、そのまま使わせてもらいました。 一つはメイン・スピーカーの脇から客席を狙っていて、もう一つは下の写真のように無指向性の DPA 4006 2本を天井から吊っています。

この吊りマイクはステージから30メートルくらい離れている感じでしょうか、このような場合録られた音を同時に再生するとオン・マイクよりもちょっと遅れて聴こえます。 音は1秒間に 340メートル進むので、30メートル離れている場合約 0.1秒遅れることになります。 クラシックなどでは問題ない時間ですが、リズムのあるポピュラー系の場合はこのくらいの遅れはひじょうに気持ち悪いことになってしまうので、ミックスの時に吊りマイクのチャンネルを少し前にずらすことになります。 オン・マイクの波形にピッタリ合わせると同じタイミングで近い音と遠い音が聴こえ、本来はあり得ない音場なのですがこれが気持ち良かったりもします。 どのくらいずらすのか、合わせるのかは正解はないので聴きながら気持ちの良いところを探っていき、この音場がライヴ盤の雰囲気を決めるので大事な作業になります。

そんなわけでセッティングも比較的に済み、本番中も特にやることがないので、2階席からたまにライヴの様子を見ていました。 曾我さんのレパートリーのうちの3分の2は僕がレコーディングをしているので、今回のような節目のライヴで聴くとやはり感慨深くなります。 特に僕が関わった最初の作品「No.5」はまだ Pro Tools が Ver.5、ハードも 24 Mix Plus で今よりはずっと使いにくく、いろいろと試行錯誤していたことをよく覚えています。 その後 Pro Tools も進化し、だんだん使いやすくなってきて現在に至るわけですが、曾我さんのレコーディングではなるべく新しいことにチャレンジするようにしているのです。

今年はこの DVD の他にも初めてのベスト盤、そして僕の本のためのレコーディングもあったりしてしょっちゅう曾我さんと会っています。 そして曾我さんはレコーディングだけでなくライヴも最近は今まで以上に精力的にこなし、さらに芝居もやったりとまさに走り続けています。 その活動を支える僕たちも同じように走り続け、常に前向きでいたいな、そしていつまでも素晴らしいチームの一員でいたいな、と思わせる素敵なライヴでした。