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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

The EDDIE KRAMER Modeling

最近は各メーカーさんから面白いプラグインがたくさんリリースされています。 特にモデリング系のプラグインが多く、ちょっと前に比べるとそのモデリング技術もだいぶ完成度が高く、使えるものばかりです。
まだまだ紹介していない新しいプラグインがたくさんあるのですが、今回はつい最近リリースされたばかりの Waves の The EDDIE KRAMER Modeling を紹介します。

Pro Tools などの DAW を駆使して音楽制作をする、というのはもうすっかりお馴染みの手法になりましたが、デジタルの恩恵の中でずっと作業していると出来上がる曲はなんとなく冷たく感じる、とか線が細い、などと思ってしまうものです。 僕もたまに昔務めていたスタジオのコンソールでミックスした曲を聴くと、ミックス技術は今より全然劣っていても、サウンドになぜか暖かみや懐かしさを感じてしまいます。
そこでアナログ・シミュレート系のプラグインを使うと、DAW での作業にアナログの要素を加えることができます。 古くからのプラグインだと DUY Analog Bundle、McDSP Analog Channel などがあり、ちょっと前に Massey Plug-ins Tape Head が登場してからは大小さまざまなメーカーがこの手のプラグインをリリースしています。 真空管やアナログ・コンソールのサチュレーションをシミュレートしたり、ヴィンテージ機器そのものを再現したりといろいろですが、最近思うのはこれらのアナログ系プラグインを使うのはそれなりにコツがいるな、ということです。 デジタル・レコーディングの中にアナログの暖かさを取り入れるためにこれらを使うわけですが、ただプラグインを使うのではなく、レコーディングの段階で工夫することもできるのです。 状態の良い真空管マイクやリボン・マイクを使う、ガッツ感を加えてくれるプリ・アンプで録る、マイク・ケーブルや電源ケーブルに一工夫してみる、などが効果的です。 そして、録りの段階で素晴らしいアナログ・サウンドが得られたら、これらのプラグインをかけてもあまり効果的ではなく、単にこもってしまうだけだったりもします。 つまり、こういったアナログ系のプラグインを使う前に、しっかりとハイファイに録っておく、という作業が大事になるのです。 マイク、プリ・アンプ、ケーブル、ミックスでのプラグイン、どの段階でアナログ色を出すのかを考えた方が良い結果を生み出すわけです。

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さて、今回紹介する Waves の The EDDIE KRAMER Modeling、ビートルズが「All You Need is Love」をレコーディングした時にアビィ・ロード・スタジオのコンソールの前に座っていたという伝説のエンジニア、エディ・クレイマーさんが愛用した2つのヴィンテージ機器のモデリングです。 まずは HLS Channel (写真下、クリックすると大きくなります)、これはロンドンの有名なスタジオ Olympic Studio などにあった Helios ミキシング・コンソールをシミュレートしています。 左部分が EQ セクションですが、これは Helios 独自のインターフェースでちょっと慣れるのに時間がかかるかもしれません。 Hi は10kHz 固定で、カットとブーストができますが、 ± 4.8.12 の3段階しかなく、かかり方もマイルドです。 中域は周波数帯域とかかり具合を柔軟にコントロールできますが、ブーストが気持ち良いです。 低域がまた独自の感じで、ファットな低域ブースト (周波数帯を選べる)か 50Hz をどのくらいカットするのか、という選択です。
この HLS Channel を挟むことによって、サウンドはかなり荒々しくなり、まさにアナログな感じを加えることができます。 もしくは地味な設定にし、この後にリミッターなどで音圧を加えることで HLS Channel のアナログ感を強調する、みたいな使い方もありでしょう。

そしてもう一つが扉写真の PIE Compressor です。 これまた Olympic Studio でエディが歴史的なセッションの際に使ったヴィンテージ Pye コンプレッサーをモデリングしています。 このコンプが実に素晴らしい! 基本的なツマミは4つしかなく、またその設定値もかなり幅が粗いのでコンプの効果がすぐにわかります。 Decay Time はコンプでいうリリースのことで、ツマミを動かすとすぐ音に出ます。 面白いのはレシオに1:1があり、つまりコンプによる圧縮はせずに Pye コンプの質感のみ加えることができるのです。 これが実に素晴らしいサウンドで、この1:1もしくはプラグインをインサートした時のデフォルト設定の2つだけでも充分使えます。

サウンド同様、そのルックスもまたモチベーションを高めてくれます。 最近の Waves のルックスは実に素晴らしいですね。
動作もそんなに重くないので、これだけで音を作るのではなく、前後にいくつかのプラグインを組み合わせて使うとより効果的だと思います。

Waves からリリース案内が来たその日にダウンロードし、次の日からさっそく大活躍、ドラムでステレオ・バスを作り、MS モードにして MS それぞれコンプの設定を変え、みたいな感じで使っています。