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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。 |
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アメリカ人の英国詣 |
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僕がマスタリングしているエアー・メイル・レコーディングスさん2月の新譜はアメリカン・ミュージックの中から隠れた名盤を発掘するシリーズ Discover America Collection 、第8弾になる今回は「亜米利加人の粋な英国詣」と題しての2タイトルです。 |
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エアー・メイル・レコーディングス |
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洋楽の名盤を、紙ジャケットによるこだわりの再現でリイシュー |
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http://www.airmailrecordings.com/ |
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まずは The Turtles「Turtle Soup」(写真下)、「ハッピー・トゥゲザー」のヒットで知られるソフト・ロック・グループ、タートルズが69年にリリースした5枚目にしてグループ最後のアルバムです。 キンクスのレイ・デイヴスをプロデューサーに迎え、パイ後期のキンクスにも通じる哀愁とユーモアが滲み出た作品です。 おそらくこの時代なのでトラック数もかなり少なかったのでしょう、ドラムがモノラルで右に寄っていて、他の音も左右どちらかに目一杯振ってある、いわゆる三点定位です。 正直この手のサウンドはあまり好きではないのですが、この時代の苦肉の策なので仕方ないですね。 しかし、一つ一つの音は太く当たり前ですがヴィンテージ色豊かに録られていて味わい深いです。 60年代ロックの魔法が見事に開花した名盤と言えます。 |
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続いて Eggs Over Easy「Good 'n' Cheap」(扉写真)、72年の作品です。 メンバー全員がアメリカ人ながらチャス・チャンドラーに認められたのを機に渡英、ブリンズリー・シュワルツ等と共にパブ・ロックのシーンを牽引した4人組バンドです。 カントリーやR&R、R&Bといったアメリカン・ミュージックに英国のテイストが程よくブレンドされた好盤です。 72年の作品だけあってドラムはセンターにいますが、やはりトラックは少なそう、そして同じく一つ一つの音は太いです。 レコーディング技術や方法を現在と比較してもしょうがないのですが、しっかりした音を録る、という意味において学ぶことは多いです。 |
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マスタリングでは、この年代の作品の時は Tape Head をフューチャーして、アナログ感を出していきます。 必要以上にハイファイにならないよう、しかし決して「レンジが狭い」とは感じないような「あの時代のサウンド」をデジタルで再現するのです。 目指すは当時レコーディングやミックスを終えたメンバーがコントロール・ルームで聴いていた音です。 これは想像して作るしかないのですが、マスタリングをいつしたのかということをイメージされないよう、あの時代にレイド・バックできるサウンドがうまく作れたと思います。 |
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