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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

スティームハマー

僕がマスタリングしているエアー・メイル・レコーディングスさん1月の新譜は好評のシリーズ British Legend Collection Vol.64、「進化を繰り返したブルース・ロックとその好例」と題した Steamhammer の4タイトルです。

エアー・メイル・レコーディングス

洋楽の名盤を、紙ジャケットによるこだわりの再現でリイシュー

http://www.airmailrecordings.com/

このスティームハマー、後に元ヤードバーズのキース・レルフと共にハルマゲドンを結成するマーティン・ビューとキーラン・ホワイトが中心になって結成されたブルース・バンドです。 このシリーズではたくさんのブリティッシュ・ロック・バンドのマスタリングをしてきましたが、恥ずかしながらほとんどのバンドは名前すら初めて聞くバンドです。 このスティームハマーもそういったバンドの一つですが、プロフィールを見ると必ず知っている名前が出てきたりします。 つまり、この時代の英国ロック・シーンはあちこちで集合と離散を繰り返し、そのバンドが成功するかどうかは紙一重だったのだと思います。
デビュー盤「Steamhammer」(写真下)は1969年リリース、おっと僕が生まれた年です。 ということは「クリムゾン・キングの宮殿」のリリースと同じ年ですね。 ブルースをベースとしながらも、ハード・ロック、プログレなどの影響も感じさせる、つまり「あの年代のサウンド」、発売当時それなりに話題になったようです。

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2nd.「MK 」(写真下) も同じく69年リリース、この時代は大作主義のちょっと前なので、ヒット作が出るとレコード会社はすぐ次作を作らせているようです。 本国イギリスよりもドイツでの人気が高かったのを受けてか、このアルバムではジャズ・ロックやジャーマン・エクスペリメンタル・ミュージックのエッセンスをも加えた実験的サウンドを展開しています。
続く3rd.「Mountains」(扉写真、70年リリース) はバンドの最高傑作というだけでなく、英国ロック屈指の名盤として知られています。 実験的要素が薄くなり、メンバーのルーツを見つめ直したかのようにフォーク・ブルースとヘヴィなエレクトリック・ブルースを絶妙にブレンド、さらにアルバム全体としてはトールキンの有名な小節「指輪物語」をテーマにしています。

中心メンバーのキーラン・ホワイトがソロになるためなんと脱退、72年リリースの4th.「Speech」ではゲスト・ヴォーカリストを迎え再びインスト・パートに比重を置いたプログレッシブなサウンドとなります。 全3曲しかなく M01 は当時の LP 盤のA面全てを使った大作、とてもブルース・バンドとは思えない凝りに凝ったアレンジが聴けます。

リマスタリングではいつもそうですが、今回の作業においても意識したのは、バンドの進化をきちんと感じられるようなサウンドにする、ということです。 まとめて何枚もリリースするような場合、マスタリング作業は同じ時期に一気にしてしまうことが多いため、何十年にもわたっているはずなのに、似たような質感になってしまっていることがよくあります。 こうなると本末転倒で、あの時代特有の空気感、LP レコードにはあったあの感じがなくなってしまう残念なリイシューになってしまうわけです。 必要以上に高域を強調しない、もちろん音圧も今時のサウンドに合わせるようなことはせずに、空気感を大切に仕上げていきました。 繰り返し聞きたくなる、味わい深いサウンドをきちんと再現できたと思います。