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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

アコースティック・アルバム

ゴスペル・シンガー Migiwa さんの新譜のレコーディングが先月末から始まりました。

Migiwa

http://migiwa.in/index.html

Migiwa さんとはもう5年くらいのお付き合い、2nd.「蟻と宇宙」、3rd.「親愛なる神様へ 」のマスタリングをしています。 そして新しいアルバムを作るにあたって、レコーディングから関わることになりました。

今回のアルバムはバンド編成ではなくアコースティック編成、当初はギター・メインで他の楽器はほんの少しだけ、という計画もありましたが、進めていくうちにいろいろアイディアが膨らみ、結局ドラムレスのバンドっぽい感じの編成になっています。
オケのレコーディングは足立区にある神の家族主イエス・キリスト教会で、Migiwa さんの歌録りは僕の本拠地 Studio CMpunch で行っています。 教会でのオケ録りの時は基本的に全ての機材を持ち込みますが、レコーダーは普段使う Mackie のハードディスク・レコーダーではなく、今回の制作チーム MAG さんから digidesign 003 を借り、下の写真のようなセッティング、メンバーを集めてではなく一人ずつの録りなので大がかりな機材にはなっていません。

8月

RS124

KEATS

7月

Urban Sound Cruise

花想ひ

6月

Welina 〜祈りとともに〜

たたえつくせなき

Japan Fire 5

5月

Voyage

金沢出張

4月

Make Us One

がんばろう、日本!

まずはギター録りからスタート、ギタリストは古橋一晃さんです。
オン・マイクは MEARI 319-A7 もしくは audio-technica AT4040、そしてステレオ・マイク RODE NT-4 を写真左のように並べ、後ろからの反射音が入らないよう Reflexion Filter でカバーします。 そして5m くらい離れたところに真空管マイク RODE K2 を写真右のような感じで立てています。 写真では遠くに見えますが、そこまで離していません。
というわけで1本のギターに対して5ch 使っています(^_^;) オン・マイクは2本のうちどちらかだけにしたり、両方を混ぜたりする予定です。 この手法により EQ を使わなくても幅広い音作りができますが、近接したところに複数のマイクを置く場合は、位相を合わせることが大事です。
写真はクリックすると拡大します。

続いて並行してパーカッション録り、奏者はベテラン 松藤一英さんです。
まずはカホンと金物・小物をセッティング、前面のオン・マイクには Audix D-6 と 今はなき Crowley and Tripp の Recordist を並べ、後ろ面のサウンド・ホールには 319-A7 を立てています。 さらにオーヴァー・ヘッドに RODE NT-4、少し離れたところに AT4040 を上から、そしてギター同様アンビエンス・マイクとして K2 をペアで使用、全部で8ch です(^_^;) D-6 は本来バスドラム用で、EQ しなくてもドンシャリに録れる大胆なサウンドになっています。 それに対して Recordist はリボン・マイクなので高音がなだらかに落ちる、良い感じにこもったサウンドで録れます。 ソロで聴くとそれぞれまったく違うサウンドで、2つを混ぜて使う予定です。

全曲カホンではさすがにワンパターンすぎるので、ジャンベやコンガも使用、それぞれ写真のようなマイク・アレンジです。
音のかぶりを心配する必要がないのでコンデンサー・マイクを積極的に使用していますが、オン・マイクであっても、音源にくっつけ過ぎないのがポイントです。 アンビエンス・マイクはギターの時よりは離れたところに置き、オン・マイクやオーヴァー・ヘッドとのバランスでパーカッションそれぞれの奥行きをミックス時に作ります。
ねらいはバッチリでどれも素晴らしい音で録れています。 特にコンガが最高のサウンドでした。

ギターとパーカッションが録れたところで、続いて何曲かにピアノを入れました。 奏者は宇戸俊秀さん、教会にあった YAMAHA S90 XS を使ったのですが、写真のように電源ケーブルをレクストの Z-PRC01 PLAYER にチェンジ、これは素晴らしく効果的、電子ピアノからグランド・ピアノの音がする、と言っても過言ではありません。

Migiwa さんの歌録りには扉写真のように K2 を使用、プライベート・スタジオのメリットとしてケーブルが短くてすむ、ということもありますが、K2 の電源も Z-PRC01 PLAYER にすることによって、素晴らしくリアルな声で録れます。
この他ベースやヴァイオリンも重ねていく予定です。

今回、光栄にもレコーディングは僕の好きなように任せてもらえているので、普段こういう風に録れたら面白そうだな、などと考えていることを試したりもできました。 また、MAG チームのサポートも大いに助かっています。
この後の制作スケジュールは若干タイトではありますが、期待に応えるべく、イメージ通りのミックス・マスタリングをしたいと思います。