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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。 |
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ON FIRE |
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僕がマスタリングしたランブリング・レコーズさんのカタログの中から、8月末にリリースされた素敵なコンピ盤「ON FIRE」を紹介します。 |
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ランブリング・レコーズ |
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http://www.rambling.ne.jp/ |
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NOVOL さんによる情熱的なジャケット・デザインからもわかるように、コンセプトは「燃えるピアノ!」、 躍動するピアノ・ジャズだけを収録した世界初のコンピ盤です。 収録アーチストは全14組、日本が誇る上原ひろみを始め、御大ミシェル・カミロ、J.A.M、安カ川大樹トリオ、indigo jam unit、そして新進気鋭の Manami Morita、など絶妙のセレクションはタワー・レコード JAZZ 担当のバイヤーさんによるコンパイルです。 CDが売れない時代と言われている今、制作サイドと販売サイドが手を組んだ今回のようなコンピ盤はまさにナイス・アイディアだと思います。 |
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曲目リストを見るとほとんどの作品は 2000年代にリリースされていますが、それぞれ違うレーベルからのリリースですし、当然レコーディング環境も様々だったと思うので、このコンピ盤用に新たにマスタリングをしています。 僕がコンピ盤のマスタリングで気を付けていることは、質感を少しだけ揃える、ということです。 違う環境下でのレコーディングだし、それぞれが違って聴こえて良いのですが、ほんの少し質感を揃える、同じ質感を加えることによって一枚のコンピ盤としての魅力が生まれるのです。 同じプラグインを全ての曲にかけることによって質感が揃っていきますが、通常のアルバムのマスタリングよりも、1曲ごとの微調整の幅が大きくなります。 具体的には低音の聴こえ方、そして音量・音圧、主にこれら3つを1曲ごとに調整していくのです。 |
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低音の聴こえ方はお好みの EQ で調整すれば良く、僕は通常のマスタリングと同様、Waves PuigTec EQP-1A を使い 60Hz のブーストとアッテネートで調整、場合によっては MEQ-5 を使って 300Hz のアッテネートもします。 |
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マスタリングでは Audio Track と Master Track を用意し(下写真左下、クリックすると拡大します)、ご覧のような配置でプラグインをインサートします。 マスター・トラックの一番最後にある L3 で最終的な音圧を決めていくのですが、コンピ盤のような場合はリミッター1つだけでは調整が難しいので、L3 の設定はある程度固定して、チャンネル・トラックの最後にもう一つリミッターを挟み、こっちの方のスレッショルドを曲ごとに変えていきます。 最近はここに Massey Plug-ins L2007 Mastering Limiter をよく使います。 L3 とはまったく値段が違いとてもお買い得なのですが、これが実に素晴らしいプラグインで、ミックス時に単体で使っても使いやすいですし、今回のような使い方で、L2007、L3、そしてチャンネル・ヴォリュームの3つを駆使すれば、面白いように音像・枠を揃えることができます。 「ON FIRE」の場合、ミシェル・カミロのみ80年代の作品で思いっきり音圧が低かったので、2つのリミッターで他の曲になんとか合わせたり、みたいなことをしているわけです。 |
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レコーディングと違ってマスタリングは一人で作業を完結させることも多いので、あまりチームワークを実感することがないこともありますが、今回はランブリングの A&R、そしてコンパイルしたタワー・レコードの JAZZ 担当のお二人もここ Studio CMpunch に来て、みんなで作っていきました。 曲間などにもものすごくこだわっていましたが、みなさん僕とほぼ同年代だったこともあり、和気あいあいと楽しい時間でした。 |
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