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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

生きる力のハーモニー

どんなお仕事でも時期や季節による仕事量の変化があると思いますが、音楽業界においては、みなさん秋から冬にかけて作品をリリースしたがる傾向があり、ということは僕の仕事は夏から秋にかけてが一年の中では仕事が多くなります。 今年はランブリング・レコーズさんのカタログのレコーディングやマスタリングに多く関わっていますが、まだ紹介していなかった作品がいくつかあったので、今回は3タイトル紹介します。
それぞれのジャケ画像からアマゾンの販売ページへ飛べます。

ランブリング・レコーズ

一ジャンルにとどまらない、ハイブリッドな作品の数々をリリース

http://www.rambling.ne.jp/

まずは o.n.o「slow day over here」(写真下)、北海道を拠点に活動するヒップ・ホップ・グループ THA BLUE HERB のビート職人のソロ名義の作品です。
当初レーベルのWさんからヒップ・ホップと聞いていたのですが、仕込みのため立ち会いの前にいただいた音源を聴くとヒップ・ホップというよりはリラクゼーション・ミュージックのように感じました。 ソロではそういう方向のようですね。 そしてこの作品、素晴らしいです。 アンビエント、ブレイクビーツ、ミニマル、エレクトロニカといったジャンルを踏襲しつつも、まったく独自の新しい音世界を作り出しています。 おそらく生演奏ではないと思うのですが、そういったことはこの完成度の前にはまったく気になりません。 聴こえてくるこの音はメロディーなのか、僕の知っている作曲方法とはきっとまったく違う方法で作っているのでしょう、しかしこの音世界は美しいとしか言いようがありません。
MS マスタリングによって拡がりと奥行き、そして美しさを作り出せと思います。 ランブリングのS社長によるとランブリングの作品の中で最も音が良い、とのことですが、確かにこの完成度は素晴らしく、状態の良いオーディオ・セットで聴くと、きっとスピーカーの存在など気にならなく、どこからか音が浮遊して聴こえてくる、そんな風に聴こえると思います。
特殊加工によるジャケットのアートワークも素敵です。

シアトリカル、そして退廃的美学

NumberClub

リボン・マイク

激レア盤初CD化

新しいプラグイン - Tube Saturator

11月

静かなる男

オリジナル段ボール

TSUNAMI MUSIC

Aoyama Folk Ways

NHK スペシャル20周年記念盤

10月

フラッシュキューブス

“ビッグ・ピンク”をめざして

THE BEATLES 09.09.09

o.n.o

道無き道を切り開くが如く突進する猛獣のようなドラム達を世に放つ

http://www.onomono.jp/

続いて今度はまさにヒップ・ホップ GYP-C「Gypsy」(写真下)、横浜を本拠に活動しているアーチストで、DJ MAYUMI の同行 MC としてのキャリアがありますが本作がオフィシャルでの初ソロ・リリースとなります。 ジャケット写真を見るとちょっといかつい感じですが(笑)、Gyp-C 君の特徴は帯にあるキャッチ・コピーが完璧に現しているのでそのまま書くと、「超ポジティブ!! ド直球男と客演シンガーたちによる等身大のメッセージがハートに直撃!!」とまぁこんな感じです (^_^;)
アルバム全体が架空のラジオ局というような設定で、途中ラジオ番組のようなコーナーもあります。 1曲目「Intro」でラジオの選局のような感じでいきなり何曲かを聴かせてしまうという反則技に続いて2曲目「Can I Have a … 」これがまたかっこいい、そしてポップです。 その後もこれでもかと続く超ポジティブな GYP-C ワールド、マスタリングではゴージャス感と力強さを作り出しています。 「Can I Have a … 」はダブル・イントロなのですが、最初のイントロはやや奥から予告編のような感じで聴こえ、続く本イントロはクロスして前からドカーンと聴こえる、そんなドラマがマスタリングでよりわかりやすくなったと思います。

GYP-C

超ポジティブなド直球男!

http://profile.ameba.jp/gyp-c/

続いて扉写真、さかもと未明「人生 -いのち-」、これは一アーチストの作品というよりは企画盤で、様々な人の思いや願いが込められています。 アルバム全体のサウンド・プロデュースはピアニスト クリヤ・マコトさん、春に発売したアルバム「RHITHMATRIX」のマスタリングを気に入ってもらい、すっかり仲良くなりました。 今回のマスタリングもマイ・ラジカセを持参しての立ち会いでした。
タイトル・トラック「人生 -いのち-」は約20年前に一人の看護師の、障害や病と闘う人々の想いを分かち合う何かがほしい、という熱い想いと共に生まれた曲です。 詳しい説明は下の pdf ファイルに記してあります。

人生 -いのち- についてのフライヤー

未明さんは漫画家でありながら、難病のため近い将来手足が動かなくなってしまう可能性があるそうです。 そこで彼女は新しい表現として歌うことを始めました。 歌の表現力はもちろんプロのシンガーと比べたら劣るかもしれませんが、何よりも伝えようとする気持ち、そこにはプロもアマの区別や上手い下手などということは関係ないのです。

続く2曲目はマイケル・ジャクソンの「You are Not Alone」、君は一人ぼっちじゃないんだよ、というメッセージがやはり伝わってきます。 クリヤさんのジャズ・アレンジも素晴らしいです。
この他 坂本九さんの名曲「明日があるさ」のカヴァーやクリヤさんが音楽を担当した映画「8月のシンフォニー」のテーマ曲なども収録されています。
クリヤさんの音楽は僕のマスタリングと相性バッチリ、美しく、そして力強いサウンドに仕上げています。


一羽の折鶴が印象的なジャケですが、なんとこのCDの中には折り紙が入っています。 もちろんそこには大きな励ましの輪が広がり、一羽の折鶴が千羽鶴になるように、という願いが込められているのです。
音楽には癒しの力があります。 そして歌や演奏にメッセージを込めることができます。 一人でも多くの方に、このCDに込められた熱い想いが届くことを祈ります。



もちろん関わった全ての作品に思い入れはありますが、今回紹介した3枚、本当に素晴らしい作品です。 ぜひ聴いてください!