★ welcome to this page daisy <kuzumaki.net

このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

NHK スペシャル20周年記念盤

ジャズ・シンガー 青木カレンさんのレコーディングやマスタリングなどでお付き合いのあるランブリング・レコーズ、今年はさらにいろいろなアーチストのレコーディングやマスタリングをやるようになりました。
クリヤ マコトさんや DJ MOTIVE 君のアルバムなどが既にリリースされてそれぞれ好評なようですが、今回は僕がマスタリングをしている2枚の素敵なコンピ盤を紹介します。

ランブリング・レコーズ

一ジャンルにとどまらない、ハイブリッドな作品の数々をリリース

http://www.rambling.ne.jp/

時代が昭和から平成へと変わったと同時にかつての NHK 特集が NHK スペシャルへと名前をかえて20年、同シリーズの歴代のテーマ曲を集めた20周年記念盤が企画されました。
「北極圏」「驚異の小宇宙・人体」「脳と心」「ドキュメント太平洋戦争」「映像の世紀」といった優れたドキュメント番組の壮大な映像をさらに盛り上げた素晴らしい音楽の数々、このCDはそれらの番組のテーマ曲を集めたコンピ盤で、久石譲、大島ミチル、菅野よう子、喜多郎、S.E.N.S.、東儀秀樹など素晴らしいアーチスト(敬称略)の作品が収録されています。
ライナーノートの解説にもあるように、それぞれのテーマ曲を聴いていると、その時にリアルタイムで見ていた映像の記憶までもが甦ってきます。 つまりそれほどていねいに作られた番組で、音楽は完璧に映像にマッチしていたのだな、ということですね。 僕はやはり加古隆さんが作曲した「映像の世紀」のメイン・テーマ「パリは燃えているか」が強烈に印象に残っていました。

10月

フラッシュキューブス

“ビッグ・ピンク”をめざして

THE BEATLES 09.09.09

新しいコンプ2

新しいトイレ

9月

SHOES

SPARTA - Naked

新しいコンプ1

The World of DALALA

8月

中世バロック・サウンドと英国ロックの融合

新しいプラグイン

Rhythmatrix

このような素晴らしいコンピ盤のマスタリングができて光栄な限りなのですが、その中でも特に S.E.N.S. の曲を扱うことができ、嬉しかったです。 僕は専門学校で作曲を勉強していたのですが、S.E.N.S. が当時 NHK 特集の「海のシルクロード」のサウンドトラックで華々しくデビューし、その音楽が大好きでコンサートなども欠かさず観に行ったりしてました。 同級生とユニットを組み、かなり S.E.N.S. を意識した作風の曲を作ったりしていたので、その S.E.N.S. の作品をマスタリングすることができ、感慨深いものがありました。

と魅力的なコンピ盤ですが、マスタリング自体はけっこう難しかったです。 というのもタイトルにあるように過去20年にわたる音源からセレクトしているので一番古いものは 1989年、まだレコーディング環境がデジタルへと移行していた時期なのでこの頃の音は今と比べるとあまりよろしくなく、ダイナミック・レンジも広くないのです。 その頃の曲と最近の曲を同じようにマスタリングしても良い結果にはならないので、時代の雰囲気は残しつつ、最近の曲と並べても違和感なく聴けるよう、工夫してマスタリングしていきました。 少しずつ処理を変えながら、トータルで1枚のアルバムとして流れて聴けるようにしていったのです。

そしてこの20周年記念盤と同じタイミングでもう1枚 NHK スペシャルものがリリースされています。 「ルーブル美術館」「印象派の殿堂 オルセー美術館」「大英博物館」「プラド美術館」「故宮~至宝が語る中華五千年~」といった美術館シリーズの音楽を集めたコンピ盤「MUSEUM」で、エンニオ・モリコーネ、牟岐礼、式部、そして S.E.N.S. の曲が収録されています (写真下)。
20周年記念盤と2曲ダブっているのですが、なんとマスタリングはそれぞれ違う処理をしています。 つまり仕上がりは違うのだけど、アルバムの中で聴くと同じ印象で聴こえるようにしているのです。
その他それぞれのアーチストや曲でダイナミクスの幅がだいぶ違うので、これも1枚のアルバムとしてバラバラに感じないよう、しかしオリジナルを変えたという印象にならないよう、さりげなくダイナミクスをほんの少しですが処理しています。


素晴らしい曲ばかりなので、マスタリングはとても楽しく、サウンドトラックが好きな人にはたまらないコンピ盤だと思います。 ぜひ聴いてください。