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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。 |
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シアトリカル、そして退廃的美学 |
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僕がマスタリングしているエアー・メイル・レコーディングスさん11月の新譜は好評のシリーズ British Legend Collection Vol.61、「プログレと英国モダーン・ポップを結ぶミッシング・リンク」と題したドクターズ・オブ・マッドネスの3タイトルです。 |
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エアー・メイル・レコーディングス |
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洋楽の名盤を、紙ジャケットによるこだわりの再現でリイシュー |
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http://www.airmailrecordings.com/ |
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まずは扉写真、1976年発表のデビュー盤「Late Night Movies, All Night Brainstorms」です。 この76年という時代は、全盛だったプログレが陰りを見せ、ハード・ロックがそれに代わろうとしたり、イギリスにおいてはパンク・ムーヴメントが誕生しようとしていた頃だと思います。 リチャード・ストレンジ率いるドクターズ・オブ・マッドネスはボブ・ディランやデヴィッド・ボウイといったお気に入りのアーチストの影響、そしてリチャード独自の世界観や音楽性を加えた当時としては特異なバンドで、メンバー探しも簡単ではなかったようです。 曲は全てリチャードが書いていますが、エレクトリック・ヴァイオリンも弾くギタリスト、アーバン・ブリッツがサウンド面では大活躍しています。 このヴァイオリンはそれまでのプログレやジャズ・ロックなどに見られた使い方とは一線を画した激しいもので、バンドのサウンドもブルースを基盤とすることの多いブリティッシュ・ロック・サウンドとはまったく違うものです。 しかしこれこそがブリティッシュの幅だ、とも言えます。 この頃よく共演していたのはマハヴィシュヌ・オーケストラやブラック・サバス、AC/DC 等だったようで、なかなかすごい時代ですね。 |
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続いてわずか半年後の76年9月に2nd.「Figments Of Emancipation」をリリース、1st. に見られた退廃的イメージやシアトリカル演出は幾分後退し、よりバンド・アンサンブルを重視したサウンドに発展します。 そしてイギリスだけでなくヨーロッパ中をツアーすることになるのですが、翌77年にはドクターズの前座を務めたこともあるセックス・ピストルズを始め多くのパンク・バンドが登場、なんと一気に旧世代のバンドになってしまったのでした。 |
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早くも行き詰まり、解散決定後の78年に3ed.「Sons of Surviva」をリリース、アドヴァーツの TV スミスとの共作曲も収録するなど、全作品中もっともパンク色が強くなっています。 しかし、前作で影を潜めたシアトリカルで退廃的な雰囲気がここでは復活、サウンドの変化と共にアートワークもどんどん変化していってますね。 |
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バンド解散後はメンバーそれぞれの活動をするのですが、リチャードは俳優としても活動、「バットマン」「ロビンフッド」などに出演したり、シェークスピアの舞台で来日もしてこともあるようです。 こうなると英国ロックだけでなく、英国文化の奥深さですね。 |
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