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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。 |
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歴史的共演 |
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ここ数年CD制作などに関わっている金剛山歌劇団の特別公演が新宿文化センターであり、記録用レコーディングに行ってきました。 |
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金剛山歌劇団 |
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日本で生まれ育った在日朝鮮人総合芸術パフォーマンス集団 |
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http://www.kot-jp.com/ |
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普段彼らはアンサンブル公演と題し音楽や舞踊、さらにはそれらを融合させた歌劇を全国で公演しています。 今回の公演がなぜ特別公演なのかというと、舞踊はなく音楽のみ、そしてステージに上がるのは器楽部のメンバーみんなではなくソリストのみ、そしてバックを務めるのがなんと東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団なのです! いろいろな情勢を考えた時に、この企画がそんなに簡単なものではないことは容易に想像がつきますし、歌劇団が在京プロ・オケと共演するのは史上初ということで、まずは記録用にきちんとレコーディングをしよう、ということになりました。 |
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上の写真が新宿文化センターの様子です、上手側にパイプオルガンがありますね。 左上の写真の真ん中上部にちょっと見づらいですが三点吊りのマイクが見えます。 これがノイマン SM-69 というステレオ・マイクで、基本的にはこのマイク一本のみで録音します。 そして補助マイクを何本か足していくのですが、今回使ったのはソリスト用 (audio-technica AT4040)、そして重唱用 (MEARI 319 A-8)、そして指揮台の後方に CROWN のバウンダリー・マイクを1ペア置きました(写真右上の2枚)。 |
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今回の公演はもちろん画期的なことで、この話を聞いた時から楽しみにしていましたが、同時に不安でもありました。 民族音楽特有のリズムや旋律、これらをオーケストラがどこまで表現できるのかな、ということです。 事前の合同リハーサルはわずか一日しかとれず、全15曲なので1曲あたり20分しか合わせることができなかったのです。 やはりリハーサルでは音楽の表現ということの前にリズムのとり方の確認などに時間がかかってしまいました。 |
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扉写真、そして上の2枚はいずれも当日のゲネプロの時のものです。 |
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というような裏話はともかく、ゲネプロもあっという間に終了し、本番も常に緊張しながら録音と PA をしていたので、本当にあっという間に終わってしまいました。 しかし、奇跡は起きたのです! いや、奇跡と言ってはみなさんに失礼でしょう、コンサートは素晴らしかったです。 歌劇団の二人の指揮者は懸命にオケをコントロールし、オーケストラも全力でそれに応えます。 お互いプロなのだから当たり前なのかもしれませんが、なんという理解度、表現力なのでしょう、どの曲も完璧に形になっていました。 もちろんソリストも全力を出し切り、1曲終わる度にオケのメンバーからも拍手、そして客席の拍手も曲ごとに大きくなり、まさに割れんばかりの拍手でした。 ステージと客席、そして僕たち裏方とが完全に音楽を通じて一つになったのです。 |
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僕は日本人です。 しかし、ひょんなことから数年前に彼らと出会い、それからずっとCD制作のお手伝いをし、公演を観に行き、結婚式に呼ばれたり、一緒に食事をしたり、バーベキューに呼ばれ秋川に放り投げられたりしました(笑)。 そんな最高の友達であり、家族のような歌劇団のメンバーたちの特別なコンサートだったのです。 当日はずっと緊張し、なんとしてもコンサートを成功させたいと必死でフェーダーを握っていました。 同じように彼らもみんな緊張していたと思いますが、さすがはパフォーマー、本番が一番良かったのではないかと思います。 そして、何よりも大事なのは、ステージに乗らなかった団員の方がずっと多く、彼らも懸命に裏でサポートしていたこと、そしてコンサートの最後に歌劇団のソリストが去った後も、シティ・フィルに一番大きな拍手を送った観客のみなさん、そういったすべての人たちの力によって、このコンサートが成功に終わった、ということです。 僕の作業も一人ではたいへんなので、歌劇団のリャンギさん、ヨンシルさんにずっと手伝ってもらいました、ありがとうございました。 |
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今回のコンサートに合わせ発売された金剛山歌劇団の最新CD、木管アンサンブル曲集です。 意表を突いたさわやかな表紙になりました。 |
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