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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

ソチ五輪、そしてゴースト騒動 …

3月も中旬になってしまい相変わらずのスロー更新で申し訳ありませんが、順番に書いていくと、まずこのことを書いておかねばいけない、と思います。

2月は4年に一度のソチ冬季五輪がありました。
葛西紀明選手、上村愛子選手、高梨沙羅選手、羽生結弦選手、そしてなんといっても浅田真央選手、ここはスポーツのことを熱く語る場ではないので詳細は省略しますが、皆さんの活躍には大きく感動しました。
そして思ったのは、スポーツ選手には全身全霊をかけられる場があって羨ましいな、ということです。 もちろん恵まれた環境と言える選手はほんの一握りもいないのでしょうし、皆さん環境作りには相当な苦労をしているのだと思います。 しかし、ストイックなまでに競技に打ち込み、そしてそれを見せる場があるのは、素直に羨ましいなと思うのです。

さてこの扉写真、なぜゲイリー・ムーアがと思うかもしれませんが、フィギュア・スケートで見事金メダルをとった羽生くんのSPで思いっきりフィーチャーされていたのがゲイリーの名曲「パリの散歩道」なのです。 そして、この曲と直接の関係はないはずですが、この模様をテレビで観ていたデヴィッド・カヴァデールが羽生くんの選曲センスを高く評価した、という地味に面白いニュースもありました (^_^;)
意外に思われるかもしれませんが僕はゲイリー大好きで、何度もコンサートに行きました。 扉写真は僕のフェイバリット盤「Wild Frontier」からのシングル「Friday on My Mind」のジャケです。 このシングルのカップリングに「パリの散歩道」のライヴ・ヴァージョンがあり、盟友フィル・ライノットが共演しています。

2月

機材クリーニング

1月

謹賀新年

プレイバック 2013 - 2

プレイバック 2013 - 1

12月

11月

10月

9月

8月

Aloha Aina

7月

訃報

今までに聴いたことのない音

6月

200V 工事

しかし、この後レコード会社には問い合わせが殺到し、配信ランキングでも洋楽1位をゲット、というニュースには素直に喜べません。 なぜレコード会社はいつも他力本願なのでしょうか。 素晴らしい曲は数え切れないほどあるのに、アイドル的有名俳優のドラマの主題歌で使われて初めて人々の耳に届く、なんて怠慢と言う他ありません。

そして、おそらくこのソチ五輪のタイミングに合わせての暴露となったのだと思いますが、まさかのゴーストライター騒動が起きました。
当事者の周りはともかく、意外なほど音楽業界ではこの話題に触れてきません。 この手の話は他にもいっぱいあるからなのか真意はわかりませんが、ここ2年ほどゴウチ氏をさんざん持ち上げてきたわりには静かです。
この騒動、世間で今話題になっているのとは違うたくさんの問題を抱えていると思うのですが、それを話題にしていくのが僕の役目ではないと思うので、無視するわけにはいかないから軽く書いておきますよ、という程度にします。

もちろんゴウチ氏のやったことは到底許せることではありません。 しかし、彼一人がペテン師・詐欺師で、彼一人が全面的に悪いのでしょうか?
僕は NHK の特番もわりと早い時期に観ていて、「HIROSHIMA」CD も持っています (開封してませんが)。
テレビを観ていて、違和感だらけだったのをよく覚えています。
普段は常に耳鳴りに襲われ、薬を飲んで落ち着いた後に、初めて作曲ができる状態になるとゴウチ氏は語り、スコアの置かれた机には薬の瓶や薬がいっぱいこぼれていました。 その映像は僕にはイメージ映像にしか見えず、そもそも作曲ができるということは落ち着いている状態のはずなのに、なぜ机の上に薬が散乱しているのだろう、という疑問がパッと出てきました。 他にも違和感や矛盾点は山ほどあったのですが、最大の茶番は某音楽学者の先生が言った「十字架音型」です。 メロディーのある部分を結ぶと十字架が現れる、これはまるで天に昇っていくかのようです、というようなことをその先生は言っていましたが、どんなメロディーや音型も上がりっぱなしや下がりっぱなしにはなるわけがなく、つまり十字架音型なんてものはほぼ全ての曲に存在するわけです。

今回の騒動の中であまり報道されてませんが、 NHK の特番は何度も放送され、一昨年辺りからジワジワとゴウチ氏とその曲たちは音楽ファンに認知されていました。 昨年などはクラシック界では異例のコンサート・ツアーも企画され、終演後はスタンディング・オベーションの嵐だったのです。
多くの作曲家や演奏家が、ゴウチ氏の曲を絶賛していました。 その真意や背景はわかりませんが、本当にレコード会社やテレビ局等のメディアはゴウチ氏の疑惑を知らなかったのでしょうか?

そしてなぜか今回の騒動で犠牲者、もしくは正直者のように扱われている本当のライター先生Nガキ氏、ゴウチ氏が詐欺師・ペテン師なら、このライター先生もまた詐欺師なのではないでしょうか。 18年間欺し続けたのはゴウチ氏だけではなく、この先生も同じはずです。 そして唯一、ゴウチ氏を止めることができたのにしてこなかったのがこのライター先生ではないでしょうか。 彼は教職に就いていて、この騒動を受け学生たちが辞めないでという署名運動をしたようですが、数々の偉大な作曲家たちを欺いたこのライター先生に、未来の音楽家を教える・育てる資格なんてあるのでしょうか。

そもそも、ゴースト・ライター騒動ということになっていますが、ゴースト・ライターとは本来有能な作家や作曲家たちが、あまりにも多忙なためその創作の一部を弟子など身内に任せることを指すのだと思います。 そういった仕組みは古くからあり、まあ難しいですが必要悪なのだな、と思います。 今回のこのお二人はこの仕組みにまったく合致してません。 ゴウチ氏は作曲家を名乗るべきではない人物でしょう。
売るためになりふり構わず壮大な作り話を感動的に作り上げてきた、糾弾されるべき人たちはもっとたくさんいるはずなのです。

2000年以降音楽がまったく売れなくなってしまったのにはハッキリとしたいくつかの原因があり、不幸なことにそれらが重なり合って、悪循環を続けています。 そろそろこの現実にしっかりと目を向けるべきではないのかなあ、と常々思っています。
もちろんただ思ったり言ったりするだけでなく自分なりに出来ることを考え、アスリート達がしてきたように少しずつ環境を作っていかなくてはならない、小さな一歩を毎日着実に歩んでいかないといけないのだ …

と、大豆が言っていました (^_^;)