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★ welcome to this page daisy <kuzumaki.net ★
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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。
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今までに聴いたことのない音
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情報化社会、IT社会全盛と言われる 2013年の今の時代においても、本から得られる貴重な情報を忘れてはいけないと思います。
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レコーディングの仕事をするようになって 20年ほどなりますが、その間Sound & Recording Magazine をずっと読み続けています。 一時はレコーディングに関する記事が少なくなり、新製品の広告くらいしか見所がなかった時期もありましたが (失礼)、最近は読み応えのある記事がまた増えてきたように思います。
特にアーチストへのインタビュー記事は、レコーディングに対する考え方がよくわかり面白いです。 そしてこういった記事においても、欧米のアーチストと日本のアーチストではまったく考え方・捉え方が違うのだな、と感じます。
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そんなサンレコの最新号では Daft Punk 8年ぶりのアルバム「Random Access Memories」を特集、この記事が実に読み応えあるものでした。
本人たちへのインタビューは2ページだけで、それよりも制作スタッフへの取材記事が多いのですが、新作の制作方法を実に堂々と語っています。
記事のネタバレになってしまうので詳細はここには書きませんが、ほとんどの点において僕がここ数年考えていること、試行錯誤していることとま同じだなあ、と思わず嬉しくなりました。
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一昨年から始めた機材のほぼ総入れ替え、そして昨年の伊藤志宏くんの2枚のアルバムでのレコーディングの時に思ったのは「これからは今まで聴いたことのないサウンドを作り出すことが出来る」ということです。
どういうことかというと、素材に対して様々なアプローチで録音をして、全てのレコーディングが終わってからそのアプローチを検証し最善のものだけを残す、もしくはいろいろなアプローチを全て残しそれらを組み合わせてベストな音を作り出す、というようなことです。
具体的に例を挙げると、バスドラムを2〜4つのマイクで録り、それらを組み合わせるだけでなく、サンプリングされた素材も混ぜたりして低域・高域それぞれにパワフルな最高のキック・サウンドを作り出すとか、一つの素材に対していろいろな距離でのマイク・サウンドを録り、近くにいるけど遠くからも聴こえる、みたいな音作りが出来る、ということです。
こういったことは、チャンネル数に限りのあったアナログ時代では決して出来ないし、DAW でも出来るようになったのはほんの最近のことです。
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この「今まで聴いたことのないサウンド」という意識はすごく大事なことだと思うので、レコーディングするアーチストさんには必ず言葉にして伝えてますし、この日記でも何度か書いていると思います。
Daft Punk の新作においても、このことはすごく意識して作られているように感じました。「70's ディスコ・サウンドへの回帰」、このアルバムに対してまずこのような表現で伝えられてますが、今の時代でしか出来ない作り方でハイブリッドな奥深いサウンドになっていると思います。
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Daft Punk 以外にも興味深い記事はいくつかありましたが、日本のアーチストへのインタビューは残念ながらグッとくるものがなかったです。
「この機材を使って録りました」「このスペックが良かった」、一見すると Daft Punk での記事と変わらないように思うかもしれませんが、レコーディングの思いを語る踏み込み方がまったく違うのです。
今月は某地域性巨大女性グループによる茶番劇とも言えるイベントがありました。 音楽は自由な芸術表現ですから、その中身や制作方法に関して「これはおかしい」とは言いません。 僕は大嫌いですが、好き嫌いも皆さんの自由ですから好きな人がいたって良いでしょう。 しかし、あのような売り方を認めてしまってはいけないと思います。 200万枚売れた曲を僕は街中やラジオなどで聴いたことがない、これってかなり異常なことだと思います。 5年後・10年後に日本の音楽シーンがもしかしたらなくなってしまっているかもしれない、僕は本気でそう思っていますが、某グループの関係者は恥ずかしくないのでしょうかね。
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話がそれました (>_<)
Daft Punk の話に戻ります。
レコーディングやミックスにおいては技術や知識がもちろん一番大事なわけですが、それと同じくらい気持ちの部分や音楽への愛情、そして偉大なるレジェンドたちへのリスペクトも大事だと日々思っています。
Daft Punk の一連の記事は、面白いというよりはむしろ感動的でした。
僕は一番感動したのは技術的な話ではなく、彼らのインタビューでの最初と最後の部分です。 最初の部分はアルバム・タイトルが「Random Access Memories」であることの説明、なぜ「Random Access Memory」ではないのか、ということです (ネタバレになってしまうので書きません)。 そして最後の部分、たっぷりと愛情と時間をかけて完成させた今回のアルバム、ミックスしたマスターをボブ・ラディックのマスタリング・スタジオに届ける際、宅配便や飛行機で運ぶことに抵抗を感じた彼らは、なんとロサンゼルスからポートランドまで車で持って行ったそうです。
音楽って、そいういうものなんだよね♪ 最高だなあ、Daft Punk!
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というわけで、最近はこの「Random Access Memories」を聴きまくっています。 聴きどころ満載なのですが、特にオープニング・トラックの「Give Life Back to Music」とジョルジオ・モロダーをフューチャーしたタイトルもズバリ「Giorgio by Moroder 」が最高です。 また、これは渋いキャスティング、ポール・ウィリアムスをフューチャーした「Touch」も素晴らしい。 ジョルジオの語りは彼がどういう人物なのかを知っていればさらに感動的、レジェンドの言葉は重みが違います。
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良い音楽に出会うとハッピーになりますね。
オープニング・トラックが最高なおかげで、このアルバムは常に1曲目から聴きたくなります。 車で聴いていて、コーヒーを買うためコンビニに寄った後、戻ったらまた1曲目から聴いてしまいます。
渋滞に巻き込まれてムシャクシャする時も、なるほどナイル・ロジャースをフューチャーしつつポール・ジャクソン Jr. のギターをやや後方に配置しているのだな、などと考えていれば飽きません (^_^;)
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