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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

プレイバック 2011 - 3

続いて9月から12月までを簡単に振り返ります。
この時期の新しい機材、ハードウェアは特になく、やはりプラグインが増えています。 Softube の Summit Audio TLA-100 と UAD-2 の Little Labs VOG が即戦力となり大活躍しています。

レコーディングではアルソ出版の雑誌「Ocarina vol. 4」、サムソン&ヨンジュの「Morning Dew」、Brilliant Harmony の定期演奏会、キヨシ小林さんの教本「ウクレレ・ジャズ」、金澤次郎さんのヴァイオリン・リサイタル、曾我泰久さんの「Voice」などをこの時期にやっています。 長い間やっていたゴスペル・イベント Japan Fire 4、そして宇野哲之さんの弦楽アルバムのミックスとマスタリングも年末リリースに向けてようやく完成しました。 今月からは 3☆ Colors のアルバム制作が進行中です。

プレイバック 2011 - 2

プレイバック 2011 - 1

3☆ Colors

12月

Voice Of God

あしたのうた

11月

TLA-100A

Promised Land

雨に泣いてる…

りんごの子守唄

10月

Till the End

9月

15枚目

アコースティック・アルバム

続いてマスタリング、ランブリング・レコーズのものでは「音のインテリア - 快適音楽空間-」、「JAZZIN' Xmas」、「秘密諜報員エリカ」サントラなど、エアー・メイル・レコーディングスのものでは Starcatsle と Joey Stec、そして Affinity と Linda Hoyle の Blue Spec シリーズをやりました。

その他単発や教本系のマスタリングでは Ash「not easy」、K-CODE、Speacloud、Boogie Babys Soul Snap の配信用マスタリング、humming note、KMP 出版の楽譜集「ピアノで贈る 卒業のうた」「THE BEST コーラス・アルバム はばたこう卒業ソング編」、宇野哲之さんのチェロ・アルバム「誰も寝てはならない」、HoCapito「Love Loves Love」などをやった他、震災チャリティーのアルバム「あしたのうた」のマスタリングもやりました。

というわけで 2011年を振り返ると、少し前からの傾向ですが不景気真っ只中の音楽業界の流れでマスタリングの枚数が減ってはきているものの、レコーディングが増え続けています。
自分の中でレコーディング・ミックス、そしてマスタリングの最新かつ最善の方法をある程度確立でき、よってかなり納得のいく仕事ができたアルバムが何枚もあります。 もちろんこれはアーチストさんや参加ミュージシャンとのチーム・ワークの結果です。
そんな中、2つ前の日記に少し書きましたが、ターニング・ポイントとして来年以降に繋がるとても印象的な言葉がありました。

震災の頃、カレンさんの「voyage」のマスタリングをずっと続けていたのですが、実はもう1枚何度も何度もマスタリング作業をくり返したアルバムがあります。 シンガー 宮本浩次さんのライヴ盤「Hot Trip」がそのアルバム、なぜこれをずっと紹介していなかったかというと、マスタリングをやってはいるものの、大半の僕のマスタリングが最終的には採用されなかったからです。 といっても僕のマスタリングが不評だったわけでも宮本さんともめたわけでもなく、何度も作業をくり返しベストの判断を下した結果、大半の曲はいわゆるマスタリング作業をしていないものが採用されたのです。 そのやりとりをしている時に宮本さんが言った言葉が「聴き手が感じ取りに行く」でした。 元々このようなことは自分のポリシーとして、ずっと意識はしていました。 「良い音だ」と言われるよりも「良い曲だ」と言われるミックスやマスタリングが理想だと思うからです。 しかし、僕の使っている機材や作業のやり方の何かが少し行き過ぎていて、「見える」音ではなく「見せる」音になってしまっているのかもしれない、宮本さんとの仕事が終わった後もずっとこのことを気にしていました。 そしてその後の他のお仕事だけでなく、いろいろなやりとりを経た結果、機材の半分以上を入れ替える決心をしました。 もちろんこれは簡単にできることではないので、新しい機材のリサーチや試聴をしながら少しずつ進めていきます。 ちょうど Pro Tools も ver.10 と HDX がリリースされたので、これらの動作が落ち着く来年春過ぎから夏くらいまでに機材の入れ替えと Pro Tools のヴァージョン・アップを終えたいと思います。


今年最後の日記の終わりに、音楽業界全体を振り返って何か書こうと思い昨年末の自分の日記を見てみたら、書こうと思っていたことが既に書かれていました(>_<)

某巨大女性アイドル・グループは今年更なる躍進をしてしまいました。 大ヒットの象徴とも言えるミリオン・セラーや伝統ある音楽賞に輝いた彼女たちの曲をラジオや街中でほとんど聴いたことがない、これはかなりおかしな状況だと思います。 最新シングルのタイトルはここに書くのもバカバカしい、いくら音楽が自由な芸術表現だからといって大の大人が真剣に作る曲なのでしょうか。
音楽の力って、もっともっとすごいものだと思うのです。 来年は、一人でも多くのリスナーにこのことが伝わるように、今年以上に精一杯頑張りたいと思います。


kuzumaki.net を一年間見ていただき、ありがとうございました。
来年も引き続きこんな感じでやっていきます。


音楽によって、世界中の街と、すべての人々に平和と愛と微笑み、そして癒しが訪れますように★

良い年をお過ごしください♪