★ welcome to this page daisy <kuzumaki.net

このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

プレイバック 2011 - 1

いつも年末はその年のお仕事を振り返る「プレイバック 20○○」というのを書いています。 今年は3月に大震災があり、今までとはだいぶ違う一年でした。 辛い思いをされた方も大勢いると思いますので、今年は地味に振り返ってみようと思います。
2011年を3つに分け、その時やっていたお仕事を順不同・一部敬称略で書いていきます。 昨年まではレコーディングやマスタリングでそれぞれ何枚、と書いていましたが、最近はCDなどのリリースではなく配信のみのためのマスタリングなどもかなり多いので、枚数は特に書きません。

まずは年明けから4月まで、例年年度末はわりと落ち着くので機材の入れ替えをしたりもします。 今回はルビジウム・クロックと Antelope OCX を導入し SYNC I/O がお役ご免、MacPro の起動ディスクとして SSD を使い始めました。 さらに UAD-2 を導入、Pro Tools は HD9 になりました。 と、派手な入れ替えではないですが、今振り返ると来年以降の入れ替えへ向けての第一歩だったのです。

レコーディングでは千代田体操、五十嵐洋さんの教本「みんながつまずくギター弾き語りの難関をクリアする本」、キヨシ小林さんの教本「ウクレレ・アロハ」、そして宇野哲之さんの弦楽アルバムなどをやりました。 宇野さんの弦楽アルバムのレコーディングでは金沢にある石川県立音楽堂へ出張、響きの良い素敵なホールでした。

3☆ Colors

12月

Voice Of God

あしたのうた

11月

TLA-100A

Promised Land

雨に泣いてる…

りんごの子守唄

10月

Till the End

9月

15枚目

アコースティック・アルバム

8月

RS124

マスタリングはこの時期にしてはけっこういっぱいやりました。 ランブリング・レコーズのものでは青木カレン「KAREN ROCKS」「voyage」、Manami Morita「I am」、コンピ盤「Urban Sound Cruise 〜Main Stream〜」など、エアー・メイル・レコーディングスのものでは Rubicon と Tommy オーケストラ・アルバムをやりました。

その他単発や教本系のマスタリングではクリヤマコト「Art of Life」、加度克紘さんと渡辺具義さんの共著「サックスに学ぶおいしいギター・フレーズ99+2 ジャズ編」、冨田晃「月の光 -ドビュッシー作品集」、Gabby Pahinui 5W、戸坂 純子「Glowing 〜光とともに〜」などをやった他、震災チャリティーのアルバム石川 優美 & Pono Lani「Welina〜祈りとともに〜」、佐藤将「Nosta'rise」のマスタリングもしています。

さてこの中ではやはりカレンさんの「voyage」、これは僕にとって忘れられない一枚になるでしょう。 2月に先行シングルのマスタリングから始め、制作チームほぼ全員が参加したアルバムのマスタリング、内容の幅広さ故に何度か細かい修正を重ね、さあそろそろ仕上げようかなという時にあの日を迎えてしまいました。 音楽業界だけではないと思いますが全ての制作や流通が止まり、1ヶ月ほど何もできない時期が続きました。 計画停電などもあった中でカレンさんやレーベルのNさんと連絡を取り続け、励まし合い、さらに何度も何度も修正を重ねていき、マスタリングとしては異例の2ヶ月ほどをかけてこのアルバムは完成したのです。
僕にとって音楽はかけがえのないものであり、この仕事が僕がやるべき仕事であり、そしてレコーディングもマスタリングもチーム・ワークで作っていくものなのだ、ということを改めて教えてくれた一枚なのです。

実はこの時期にやったお仕事で、今考えるととても重要なターニング・ポイントになったものがもう一枚あります。 来年以降に繋がることなので、これは今年最後の日記に書くことにします。