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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

ヴィジオネール

伊藤志宏くんのアルバム「Ladies & Pianoman」のリリースから3ヶ月、早くもセカンド・アルバム「ヴィジオネール」がリリースされました。

伊藤 志宏 オフィシャル・サイト

http://www.shikoupf.com/

「ヴィジオネール」特設サイト

http://visionnaire.shikoupf.com/

「Ladies & Pianoman」は全曲歌ものでスタジオでのレコーディングでしたが、この「ヴィジオネール」は全曲ピアノ・ソロ、ホールでのレコーディングです。 ちょうど一年ほど前に「Ladies & Pianoman」の打ち合わせをした時に、ランブリングのNさんから対をなす2枚のアルバムを作りたいんだ、と言われ、同時にではないものの昨年はずっと志宏くんのアルバムに取りかかっていたわけです。

今回ももちろん調律は名取孝浩さんで、ホールは名取さんの推薦によりさいたま市北区にあるプラザノースに決定、「Ladies & Pianoman」のミックスとマスタリングを完パケした翌日の9月12日から3日間、大宮に泊まり込んでレコーディングを行いました。 プラザノースはキャパ 400とちょうど良い広さ、良い状態のスタインウェイ D-274 がありました。

ジャズ・アルバム

2月

新しいヘッドフォン

機材クリーニング

1月

謹賀新年

プレイバック 2012 - 3

プレイバック 2012 - 2

プレイバック 2012 - 1

Pastoral Tone

12月

Ladies & Pianoman

クラシック系の録音3つ

11月

You and Me

ミックス・テクニック99・セミナー開催!

ホールでのレコーディングということで、吊りマイクとマイク・スタンド、マルチ・ケーブル以外の機材は全て持ち込みです。
レコーディング全景は下の写真のような感じ、クリックすると拡大します。

ソロ・ピアノとはいえ使ったマイクは9本、計11ch で録りました。
ピアノへのマイキングは最近の定番、Lauten Audio Clarion、Telefunken AR-70、そして Crowley & Tripp Recordist を使っています。 いろいろな角度からの写真を貼っておきます。

アンビエンス・マイクは3種類、Lauten Audio Oceanous をステージの端に、RODE K2 を客席前の方に、そしてホール常設の三点吊りマイク 三研 CMS-2 を使っています。

このレコーディングの時から、マイク・ケーブルには Wagnus が製作してくれた Belden 6302FC のカスタム・ケーブルを使っています。 このケーブルはなかなか珍しいようで、スタジオ・エリアーナと僕とで Wagnus の在庫を使い切ってしまったそうです (^_^;)
そして api 3124+ の電源ケーブルも Wagnus のスペシャル・ハイエンド・ケーブル、効果は絶大で、かなり理想的な音で録れました。

「Ladies & Pianoman」の時もほとんど編集はしていないのですが、この「ヴィジオネール」、なんと一切の編集はしていません。 つまり、何テイクか録った中から選んだだけなのです。 ミックスの仕上げ方は「Ladies & Pianoman」とほぼ同じ、適度にコンプを使っています。
マスタリングでは新しい試みとして通常よりもプラグインの数をずっと減らしたりもし、最終的には半数以上の曲がミックスしたままの状態で最終ファイルとなりました。
下が全曲の最終的な波形です。
自画自賛になってしまいますが、演奏した志宏くんと、客席で聴いていた僕やNさんの双方が「この音色とダイナミクスで完璧」と納得した、今までにないサウンドになっていると思います。

ソロ・ピアノなので志宏くんの感性がダイレクトに曲に反映されていると思いますが、これがまた実に素晴らしいのです。
わかりやすく言うとドビュッシーをさらにモダンにした感じ、ジャズでもなくクラシックでもなく、これが伊藤志宏の音世界なのでしょう。

僕は誰よりも早く最終的な音源を聴くことが出来るので、マスタリングが全て終わった昨年11月末からは、ほとんど毎日このアルバムを聴いてました。 そしてアルバムがリリースされた今、ランブリングのNさんはもちろん名取さんもほぼ毎日「ヴィジオネール」を聴いているそうです。

実際のところ我ながら良く出来たサウンドだと思いますが、そんなことよりも、一人でも多くの方に、この素晴らしい作品を聴いてもらいたいな、と思います。