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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。
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4年に一度
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ここ数年、主にゴスペル系のレコーディングでチームを組むことが多い MAG さんと一緒に、桜美林大学聖歌隊のレコーディングに行ってきました。
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桜美林大学聖歌隊の CD はこれが4年ぶり2枚目、前作「我が家へ帰ろう」はいまだによく聴いている愛聴盤なので、今回も楽しみにしていました。
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録音を行ったのは町田キャンパス内にあるチャペル、パイプ・オルガンもある素敵なチャペルですが、教会のように響く造りにはなっていません。
機材は全て持ち込み、MAG さんからはマイク・スタンドとマルチ・ケーブルを借り、マイクとケーブル類とプリアンプ、そしてレコーダーは僕が用意しました。
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前回はピアノ伴奏かアカペラという編成でしたが、今回はパイプ・オルガンの伴奏かアカペラ、1曲のみピアノ伴奏で、さらに数曲でトランペットが加わりました。
マイキングは去年完成させた最近のスタンダードに基づき、オン・マイクとオフ・マイク、それぞれにいろいろな種類のマイクを使っています。
下の写真はいろいろな角度から撮ったマイキングの様子です (クリックすると拡大します)。
クワイアの各パートに RODE の真空管マイク K2、さらにリボン・マイクの Crowley & Tripp Recordist を女声と男声で1本ずつ、やや離れたところにオフ・マイクとして Lauten Audio Clarion、アンビエンス・マイクは Lauten Audio Oceanous を2階からセット、パイプ・オルガンには AKG C414 と Recordist を左右に、トランペットは audio-technica AT4040 1本で、ピアノには RODE のステレオ・マイク NT-4、ソロ・ヴォーカルには RODE NT-2、計17本のマイクを使いました (録音は最大16ch)。
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このマイキングの特徴はコンデンサーと真空管だったり、コンデンサーとリボンだったり、違う種類のマイクを組み合わせている、ということです。 これにより質感の違うサウンドがいくつか出来るので、そのバランスを調整すれば EQ をほぼ使わなくてもいろいろなサウンドが作れるだけでなく、音楽的なサウンドになるのです。
マイクで差を作っているのでマイク・プリは api3124+ で統一、電源ケーブルも Wagnus Nebula で統一します。
そしてマイク・ケーブルはもちろん最近愛用の Wagnus 6302FC を使うのですが、ここにもう一つのポイントが。 Wagnus のケーブル (基本的に BELDEN が多い) は定位感が良く、サウンドのバランスも素晴らしいのですが、中低域にほんの少しピークがあります。 実際はピークがある、というほど感じることは出来ないわずかな量ですが、良い電源ケーブルやマイク・プリを使うことによってそれが実感でき、さらにチャンネル数が多くなるとその中低域がほんの少し膨らんできます。 まあそれでも音楽的に気持ち良い質感ではあるけれど、ミックスやマスタリングでさらに中低域が膨らんでいくことを考慮し、6302FC 以外の Wagnus のケーブルや場合によっては MOGAMI 2534 などを使ってピークを散らしていくのです。
マイク・プリとレコーダーは2Fに設置、裏側は下の写真のようになっています。 実はここにも少し工夫があり、マルチ・ボックスからの立ち上げケーブルも何種類かを使い分けているのです。
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録音の方法自体は前作と同じ、クワイアのメンバーも指揮者の先生もヘッドフォンを付けず、普段と同じように歌ってもらいます。 1曲につき3〜4テイク録り、後日テイクを選んだり編集したりしてからミックスしていきます。 このやり方だとみなさんそんなに緊張いないはずですが、ソロの歌い手さんは自分だけのマイクがセットされるので若干緊張するようです (しかも Reflection Filter 付なので)。
この Reflection Filter がまた一工夫しているところで、これによりソロのみがちょっと近い感じで録れ、ミックスしやすくなるわけです。
収録したのは全部で16曲、2日間で録る予定でしたが、クワイアの頑張りでなんと1日で終了、もうここからは僕一人での作業です。
今回のはクリスマス用の讃美歌集ということでパイプ・オルガンの伴奏がメイン、そして前作同様、学生一人一人はプロ並みに上手いわけではないのに、先生の指導の賜か実に素晴らしい合唱でした。
4年に一度、というのは全ての学生が一度がレコーディングが出来るよう、ということのようです。
Y先生、毎年とは言いませんが、2年に一度でも良いのでは(^_^;)
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