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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

カンタベリー経由、英国ジャズ・ロックの最高峰

ブリティッシュ・ロックの名盤のリイシューがリリースのメインとなっているエアー・メイル・レコーディングスさん、通常の British Legend Collection シリーズとは別に名盤を高音質CDでリイシューするというコンセプトの Blue Spec CD Collection というのがあります。 その第5弾は「カンタベリー経由、英国ジャズ・ロックの最高峰」と題された Soft Machine 後期の名盤3タイトル、僕がマスタリングをしています。

エアー・メイル・レコーディングス

http://www.airmailrecordings.com/

今回の3枚は CBS からハーヴェストに移籍してからの3タイトルで、「Bundles」「Softs」「Alive and Well -Recorded In Paris-」というバンド後期の名盤として知られている3枚です。
簡単に内容を紹介しておくと、扉写真の「Bundles」はギタリストにアラン・ホールズワースを迎えて75年にリリースされた8th. アルバム、ダイナミックなジャズ・フージョン・サウンドと言えます。 「Bundles」リリース後に早くもホールズワースと唯一のオリジナル・メンバー マイク・ラトリッジが脱退、新メンバーを迎えて9th.「Softs」を76年にリリース、優雅さとダイナミックさが絶妙のバランスで交差した異常なまでのテンションを作り出しています。
77年リリースの10th.「Alive and Well -Recorded In Paris-」は文字通りパリでのコンサートを収めたライヴ盤、この頃のバンマス カール・ジェンキンスはその後 Adiemus を結成して成功を収めます。

DAD AX24

7月

エリアーナ始動

スタジオ・エリアーナ

6月

ピアノ録り その2

5月

ピアノ録り その1

4月

モンマルトル、愛の夜。

Maag Audio EQ4

3月

Altiverb 7

The Greatest Love of All

2月

山中湖にて

この3枚はどれも特徴的で聴きごたえがあり、amazon などのレビューでもみなさん絶賛されている、まさに名盤ですが、70年代中盤という機材が劇的に進歩していくちょっと前の作品ということで、当たり前ですが全て人間が演奏しています。 ちょっとした編集をやっているのかどうかは定かではありませんが、ジャズ系ということでもしかしたら修正どころか編集すら行っていないかもしれません。 ジャズ・フュージョンということで同じバースを延々と繰り返したりしますが、まったく飽きないのはそのためでしょう。

僕のお薦めはやはりライヴ盤「Alive and Well -Recorded In Paris-」です。 前述のように、他2作も言ってみればライヴ盤ではあるのですが、今作は聴衆の前で演奏された本物のライヴ盤、やはりテンションは半端なく凄いです。

下の写真はこのライヴ盤に収められた「Number Three」「The Nodder」のマスタリング後の波形です。 次第に盛り上がっていき、そして徐々にまた小さくなっていく、見事なダイナミクスですが、それを完全に CD の枠の中に押し込めた、とも言えます。
これらのマスタリングをしたのは今年の6月、ちょうどインターフェースを DAD AX24 に替えてしばらくした頃です。 併せて電源ケーブルやライン・ケーブルなども新しいものにしていて、それらを上手く使いこなせるようになった頃の作業、自分で言うのもなんですがかなり良く仕上がっています。

人力でやっているのが凄い、とか編集をしていないのでは、などという本来当たり前のことで感心してしまう、残念ながらここ数十年で、人々はテクノロジーの進化を間違った方法で使ってしまったようですね。

「本来こうあるべきだよなぁ」などと感心ばかりしていないで、間違った進化に対して少しでも抵抗し、テクノロジーは正しく使いたいと思います。
今ではすっかりベテランとしての円熟味を出している彼らの、まだ若い頃のやんちゃな演奏、そのやんちゃっぷりは新しい機材になったことによるスピード感で初めて完璧に表現できたと言えるのではないでしょうか。


ぜひ聴いてください!