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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

素晴らしいヴォーカリスト達

今回は石井一孝さんの4th. アルバムのレコーディングに参加しているミュージシャンの紹介、楽器陣に続き今回はカズさんを含めたヴォーカリストのレポートです。

リズム・トラックを録り終えてからは主役であるカズさんのヴォーカル、そしてバックグラウンド・ヴォーカルをここ Studio CMpunch で録っています。 まず扉写真はカズさんの歌録りの様子、最近の僕のお気に入りの真空管マイク RODE K2 を使い、マイク・プリは AMEK 9098 DMA 、そして api 3124+ の2弾がけです。 写真にあるように、ウィンド・スクリーンは使いません。 カズさんは声量も大きいし、良い意味で大げさな歌い方をするので吹かれを心配していましたが、こういう場合マイク本体を少し向きを傾けてしまえばほとんど吹かれの心配はなくなります。
歌の録り方は、わりとオーソドックスな方法で、何テイクか通して歌ってある程度慣れてから、1番、2番、3番と順番に仕上げていきます。 だいたい3テイクほど録ると基本となる素材が揃うので、ここはテイク1、ここはテイク2を、みたいに編集していき、最後にいまひとつ納得できなかった箇所を細かく録っていく、という感じです。

素晴らしいミュージシャン達

リズム・トラック録り

Better Late than Never

8月

骨休み

マーク・ムーギー・クリングマン

フルート・トリオ

20/20

SHINING コンサート

サックス・カルテット

ペドラーズ

ホールでの歌録り

そして全12曲中8曲に入るバックグラウンド・ヴォーカルで参加しているのは大嶋吾郎さん、久保田陽子さん、そして淵上祥人さんの3人です(写真左上、左から順に)。 それぞれ自身の活動と共に数多くのセッション活動をされているので、きっと僕が持っているCDなどにもこの3人の声がたくさん入っているのでしょう。 大嶋さんと久保田さんは普段ダルメシアンズというヴォーカル・ユニットで一緒に活動しているので、バックグラウンド・ヴォーカル・アレンジはお二人がダルメシアンズ名義で行っています。
以前にもバックグラウンド・ヴォーカルの録り方はいくつかある、ということを書いていますが、今回は2種類の方法で録っています。 まずは写真にあるように、1本のマイクの周りに3人が立ち、同時にハーモニーを録っていくやり方、この場合当然後でバランスをとることはできませんが、厚みのある声が録れます。 この方法は主にゴスペル調のアレンジの時と、ワンポイントで厚みを出したい場合に使いました。 そしてもう一つ、どちらかというとほとんどこの方法ですが、オーソドックスに一人ずつ一つの声部を重ねていく方法です。 大嶋さんの低音部から録り、そのフレージングに合わせ3人がかわりばんこに重ねていくのです。 この方法だとミックスの時にバランスをいくらでも変えることができます。 しかし、ただ次々に録るだけでは質感が同じものになってしまうので、K2 の電源ボックスにある指向性切り替えツマミを少しずつ動かして録っていきました。 こうすると、多少は距離感を変えながら録れるわけです。 そしてミックスの時に各トラックのコンプの設定も少しずつ変えていけば、奥行きのある拡がった音像になるはずです。
すべてのバックグラウンド・ヴォーカルはダブルで録っています。

それにしても、3人とも本当に素敵な声、そして当たり前ですが歌が上手い、趣味でゴスペル・コーラスをやっている僕からみると本当にうらやましい限りです。 声のキャラクターや歌い方を自由自在に変えていくので、結果的にすごく厚みのある声になっていき、「足し算のマジック」を実感できました。

リズム・トラックはそんなにオーヴァーダブをしていないので、わりとシンプルなアレンジになっていますが、バックグラウンド・ヴォーカルは最大9本、それがダブルなので18トラック、曲によっては1本に3人の声が入っているので全部で54人が歌っていることになり、すごい厚みです。 トラック数も一気にトータル40トラックくらいになり、ミックスでまとめていく作業はかなりたいへん、いや面白くなりそうです。


最後にみなさんでリラックスしている様子を1枚、おつかれさまでした。