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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

新しいプラグイン

さて久々にプラグイン紹介、最近購入したプラグインの中からお気に入りのものをいくつか紹介したいと思います。

5月末に出した本「エンジニアが教える ミックス・テクニック 99」や、何度かこの日記にも書いていますが、コレクター気質の僕はプラグインに関してもついついその本領を発揮してしまいいろんなものを所有しています。 中にはほとんど使わないものもたくさんあるのですが、さっき Plug-ins フォルダを見たら 252 項目、となっていました。 カウントの仕方がバンドルで1つだったりメーカーで1つだったりしているものもあるので、全部で 300 近い数になるのだと思います(^_^;)

その中でも最近のプラグインはとてもよくできていて、機能も各社工夫をしていますし、かかり具合も昔のみたいになんだかよくわからないということはなく、かなりわかりやすくなっているような気がします。
そして何より見た目がそれぞれ個性的で素敵です。 そんなわけで、ほとんどのプラグインはメーカーのサイトからダイレクトに購入できるのですが、コレクターの僕はわざわざ代理店からパッケージ版を購入するのです。

さてまずは McDSP の Retro Pack、McDSP は Filter Bank や Compressor Bank が有名ですが、僕は同社の製品では Analog Channel を愛用しています。 この Retro Pack は 4030 Retro Comp (扉写真)と 4020 Retro EQ (写真左下)、4040 Retro Limiter (写真右下) の3つで構成されるバンドルで、名前のようにそれぞれヴィンテージ機材っぽいサウンドが特徴です。 最近流行のある機種のモデリングではなく、あくまでヴィンテージなイメージ、というところがミソです。 同社のプラグインは緑のカラーが特徴ですが、この Retro Pack は深緑になっているのもよりヴィンテージっぽくて素敵です。 かかり具合もとてもわかりやすく、レトロ、つまりは暖かい雰囲気を簡単に作り出すことができます。 面白いのはコンプの中に Dry/Wet を調節するツマミがあって、コンプのかかってない原音とコンプ音とを混ぜることができます。 トラックを2つ用意してそれぞれのヴォリューム調整で同じことができますが、1つのトラックでバランスが調整できるのは何かと便利です。 コンプ自体は思いっきり深くかけながら、原音をある程度混ぜていけばアタック感もありながらコンプ感もあるという、美味しいとこどりのサウンドができます。
EQ も、名前通り暖かい雰囲気でかかっていくのでかなり気に入ってます。
McDSP の製品は、バンドルを代理店から購入すると緑色の特製 iLok が付属してきますが、これとパッケージがほしいがために、今回ももちろん代理店から購入しました(^_^;)

Rhythmatrix

合宿レコーディング

〜私は命をうたいたい〜

7月

ダンスは止まらない

Super Rare Trax

THE CLUB JAZZ DIVA

puff up 第3弾

6月

ルネッサンス

2冊目の本が出ます♪

プリーザーズ

puff up 第2弾

雨上がりの夜空に …

教本2点

続いては、これはミックス本にも書いていますが、最近のマスト・アイテム、Brainworx bx_control (写真左下) と SPL Transient Designer (写真右下) です。 bx_control は MS 方式によってステレオ・イメージをコントロールするものです。 これはちょっと難しく、まずプラグインの先頭に挟み MS モードに切り替えます。 次にコンプや EQ をマルチ・モノでインサートし、MS それぞれを違う設定にすることによりセンターのヴォーカルを強調したり、奥行き感を出したりするのです。 つまりはマスタリングに最適なのですが、ミックス時においてもステレオ素材全般に使えます。 bx_control の面白い機能は Mono-Maker で、ここで設定した周波数より下の音は強制的にセンターに集まってしまうのです。 これにより思いっきり拡がったドラムのアンビエンスの低音だけセンターに集め、それによって音像をぼかさない、みたいなことができるのです。 そして、その隣にある Stereo-Width ツマミによって今度は音像を拡げることができ、これがまた気持ち良い感じに拡がっていきます。 MS モードで使わないこともできるので、シングル・プラグインとして他のものと同様に使い、Mono-Maker と Stereo-Width だけでステレオ・イメージを変えていくことができ、これはかなりはまります。
Transient Designer はソースのアタックとリリースをいじることができる、というもの、これがなにげに面白いです。 アタックとリリースといえばコンプですが、コンプ感を出さずにアタックを強調したり弱めたり、余韻を強調したり減らしたり、ということが簡単にできます。 僕はオフ・マイクのサウンド感が好きなのでコンデンサー・マイクを多用しますが、これでリリースをちょっと減らすとオフ・マイクなのにスッキリした音になります。 打ち込みドラムの各素材の余韻を揃えるのにも重宝、これによってバラバラな素材でも一人のドラマーが叩いているように聴かせることができ、これは本当に便利です。

僕は EQ があまり好きではないのでほとんど使わない、とミックス本にも書いていますが、もちろんまったく使わないわけではなく、ミックスでもマスタリングでもそれなりに使います。 EQ で音作りするのが好きではない、ミックスで EQ すればどうにでもなるからレコーディングはとりあえず録れれば良い、みたいな考えが好きではない、ということなのです。 ですから僕の EQ の使い方はあくまで補正的、ピンポイントで使うことが多いです。 そんな僕にピッタリなのが Abbey Road Plug-ins の RS-135 (写真左下)、これは Brilliance Pack という EQ バンドルの中の1つなのですが、なんと 8 kHz しか動かせない、しかもマイナスがなくてプラス2ずつしか動かせない、という男らしいプラグインです。 しかしこれがかなり便利、8 kHz というのは実音ではなく倍音になり、具体的には空気感であるとかアタック感を付け加えることができ、これは例えばミックスの中でヴォーカルを少し目立たせる、みたいなことが簡単にできます。 +2ずつしか調整できませんが、これは2db ということではなさそうなので、+6とかにしてもそんなにキツい感じにはなりません。 面白いのはこれ1つで +4にするのと、これを2回かけ、それぞれ +2にするのとでは結果が違う、ということです。
そしてこれはそんなに新しいものではなく前から持っていたのですが、最近やっと使うようになったのが Waves の API コレクションの中にある api 560 (写真右下) です。 見てわかるようにこれはパラメトリックではなくグラフィック EQ で、それ故に今まで使わなかったのですが、いざ使ってみると意外に使いやすいのです。 バンド幅が固定なので、どの辺の帯域かな〜、と探る必要がなく、おそらくこの辺だろう、という帯域をちょっとカットすれば簡単にスッキリしたサウンドを作ることができます。 また、4 kHz より上の3つのポイントを少し上げるだけで、ミックスの中の存在感を少し増すことができます。 周波数ポイントを変えられないのが不便かと思いきや、意外にこれで充分だったりします。 グラフィック EQ では、SPL から素材に特化した周波数ポイントを用意した EQ Ranger があり、これはこれで便利ですが、見た目の好みでついつい api を使ってしまいます。

今回紹介したものは機能だけでなく見た目においても大好きなものです。 他にも面白いプラグインがたくさんあるので、それらはまた近いうちに紹介したいと思います。