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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

Rhythmatrix

今年は印象深いお仕事が多く、特にマスタリングにおいては自分の代表作と堂々と言える作品がこれから毎月のようにリリースされていきますが、まずはピアニスト クリヤマコトさんのプロジェクト Rhythmatrix のデビュー盤「Rhythmatrix」がランブリング・レコーズからリリースされました。

Rhythmatrix

クリヤマコトさんのオフィシャル・サイト内にある Rhythmatrix のページ

http://members.jcom.home.ne.jp/tothemax/profile/rhythmatrix.html

ランブリング・レコーズ

一ジャンルにとどまらない、ハイブリッドな作品の数々をリリース

http://www.rambling.ne.jp/html/

Rhythmatrix は Rhythm と Matrix を合わせた造語で、レギュラー・メンバーはクリヤ マコト(Pf、Key)、コモブチ キイチロウ(B)、安井 源之新(Perc.) の3名です(敬称略)。 グループ結成の経緯やその音楽性に関しては、CDのライナーやサイト内でクリヤさんが詳しく解説していますが、これがとても興味深い内容です。 簡単に書くと、Rhythmatrix が目指しているのは単なるラテン・ジャズではなくハイブリッド・ジャズ、様々な音楽を融合した現代のジャズなのだ、ということ。 そしてそもそも世界中のポピュラー音楽はハイブリッドなものなのだ、ということです。 世界各地の音楽を、新しい土地に移り住んだ人たち(つまりは移民)がその地に元々あった音楽と融合しできたのがジャズやブルースであり、サルサであり、ヒップヒップなのである、というお話はなるほど納得できます。
そしてもちろん僕ら日本人にもハイブリッドな音楽は作れるずで、 Rhythmatrix はブラジル音楽を基調としていますが、そこにクリヤさんの身体に染み込んだアメリカ音楽のジャズを融合させた、まさにオンリー・ワンなサウンドなのです。

合宿レコーディング

〜私は命をうたいたい〜

7月

ダンスは止まらない

Super Rare Trax

THE CLUB JAZZ DIVA

puff up 第3弾

6月

ルネッサンス

2冊目の本が出ます♪

プリーザーズ

puff up 第2弾

雨上がりの夜空に …

教本2点

5月

そんなわけで収録曲もバラエティに富んでます。 7拍子の「Misturada」とサンバ王道の2拍子の「Tombo」を絶妙に融合したオープニング曲、途中の源之新さんの多重録音によるバツカーダ(打楽器演奏部分)を含め最高にかっこいいです。 そして短めの曲間ですかさず2曲目へ、セルジオ・メンデスの演奏で有名な「Berimbau」、Saigenji さんがゲスト・ヴォーカルで参加しています。 その他意表を突いたビリー・ジョエルの「素顔のままで」やあまりにも有名な「イパネマの娘」のカバー、そしてクリヤさん、コモブキさんのオリジナル曲もあり全10曲、レーベル・メイトの青木カレンさんや土岐麻子さんなどがゲスト参加しています。

そして個人的に注目しているのが、オープニング曲を含め何曲かで叩いているドラマー 村上広樹くん、なんと僕がまだレコーディングの道に進む前にいろいろとバンド活動などしていた時のミュージシャン仲間なのです。 そして最近カレンさんやルンヒャンなど、やたらと僕の周りに現れますが、僕はレコーディング、彼はライヴ・サポートなので会えてはいません。 来月の Rhythmatrix のライヴで会えるのを楽しみにしています。

さてこのアルバム、マスタリングは4月末にここ Studio CMpunch で行いました。 クリヤさんはラジカセ持参で参加、うちの Reqst のモニターと切り替えながら特に低音のバランスを最初は気にしていました。 しかしマスタリングに至るまでに何度もメールで打ち合わせをしていたこともあり、クリヤさんと僕との方向性はすぐに一致し、マスタリング作業はすんなり進みました。 具体的にはいつものように MS マスタリングで奥行き感を演出し、曲ごとに制作時期や制作環境がだいぶ違うので低音のみ曲によってバランスを変えています。 そして曲の雰囲気や曲順を考慮して、音量ではなく音圧を曲によって微妙に変えています。 それらを1曲ずつマスタリングしていくのではなく、低音の EQ 設定や音圧をコントロールするリミッターの設定をオートメーションで書いていき、全曲を通して再生し TASCAM のハードディスク・レコーダに録音していくのです。 最後にそのファイルを Pro Tools に戻し曲間を作っていくのですが、僕の作った叩き台の曲間がほとんどすべて採用され、個人的にも大満足のいくマスタリングとなりました。

マスタリング前のメールでの打ち合わせでクリヤさんが「僕の集大成なんだ」とおっしゃっていた通り、このアルバムにはクリヤさん、そして参加した全メンバーの熱い情熱が詰め込まれています。 どこから聴いても美味しい金太郎飴的CDで、聴き所満載なので、いろいろな場所で大音量で聴いてほしいですね。 ヘッドフォンで聴くと実にいろんな音が聴こえます。 ゲスト参加のヴォーカリストもどの曲においても素晴らしいのですが、あえてここで注目したいのは青木カレンさん、歌詞はなく全編スキャットなのですが、ダブルに聴こえないダブリング、シングルの歌をディレイで広げたのかと思いきや実際に2回歌っているそうです。

個人的に大好きなのはオープニング曲と、クリヤさんのオリジナルでありながらフラメンコとラテン・ジャズの融合といった感じでパルマも最高にかっこいい4曲目ですね。 車で大音量でしょっちゅう聴いています。


今のところ僕の今年の代表作です、ぜひ聴いてください!